今回は小青竜湯について取り上げてみたいと思います。
小青竜湯と聞いてまず思い浮かぶのが、花粉症でよく処方される薬ということでしょうか?
粘り気のない、透明な水鼻がズルズルと出る、花粉症に実に良く処方される漢方薬だと思います。
ところが、中医学ではあまり花粉症には使われません。鼻水と言うよりもむしろ咳に使用されることが多く、長期に服用を続ける薬でもないのです。
では、小青竜湯の本来の使い方とはどういったことなのか?見ていきたいと思います。
配合生薬
半夏(ハンゲ)、 甘草(カンゾウ)、 桂皮(ケイヒ)、 五味子(ゴミシ)、 細辛(サイシン)、 芍薬(シャクヤク)、 麻黄(マオウ)、 乾姜(カンキョウ)
半夏・・・咳を抑える作用がある。
甘草・・・胃腸の保護作用。
桂皮・・・皮膚血管を広げて、発汗し熱を逃がす。
五味子・・・発汗を調整し、滋養強壮作用をもち、咳を抑える作用がある。
細辛・・・皮膚血管を広げてる。また肺や全身の血行を良くして呼吸を改善する。
芍薬・・・横隔膜の痙攣を抑えて、咳を沈める。
麻黄・・・皮膚血管を広げて、発汗し熱を逃がす。また咳を沈める作用がある。
乾姜・・・胃腸の保護。
どんな症状に使われる?
風邪、インフルエンザ、気管支炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など。
どのように効くか?
人間の体は外からのウイルスや花粉などの外敵が体の中に入ってくると、防御反応が働き体の汗腺を締めて、これ以上敵が入ってこないように働きます。
そして体の中の熱を上げて、中に入った外敵をやっつけようとするのですが体温が十分に上がらないとなかなか敵をやっつけることが出来ません。
さらに汗腺をぎゅーっと閉めているので逆に体の中から水分が抜けなくなり出口を失った水分は痰や鼻水となって上気道に逆流してきます。
そこで麻黄、桂枝、細辛の作用によって体温を上昇させ皮膚表面の血行を良くして汗腺を広げ水分を外に逃がすことにより、結果的に痰や鼻水の量を減らすことが出来ます。
また麻黄、芍薬、甘草、五味子の働きによって気管支の痙攣を緩め、鎮咳作用があるので気管支炎や喘息など咳が続く症状を改善します。
ですので、小青竜湯はもともと風邪や喘息などが長引き痰や鼻水が続く咳症状に使われていた薬です。
それが花粉症の鼻水だけを取り上げて使われているのですが、あまり長期的に使用する薬ではないのです。
服用にあたっての注意点
麻黄が含まれているので胃腸の弱い方は胃に負担が掛かることがあります。
また麻黄の副作用で動悸などの症状が起こることがあります。
漫然と長期連用はしない方が良いです。
甘草が含まれているので低カリウム血症による血圧上昇、むくみなどに注意して下さい。
服用にあたっては専門家にご相談ください。
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