今回は日頃の薬局業務で大変よく目にする高血圧薬について書かせてもらいます。
そもそも高血圧とは一体どういう症状なのか?
また高血圧がどうして良くないのか?
ふと立ち止まってよく考えると あれ?となることは日常よくあることですよね。
血圧とはなに?
なんだそんなの簡単だよ、今更何言っているの?
という声が聞こえてきそうですが、ここは基本から。
血圧とは血管の内壁にかかる圧力の事です。心臓は体にとって欠かせない酸素や栄養分を体の隅々まで行き渡らせるために収縮、拡張を繰り返すポンプの働きをします。
収縮、拡張を繰り返すため血管にかかる圧力は当然一定ではなくて変動幅が出来ます。
心臓が収縮するとき(最も血液を送り出す時)の圧力を収縮期血圧、逆に心臓が拡張するとき(血液を送り出さない時)の圧力を拡張期血圧といいます。
血圧はどのように測るの?
まず血圧に使われる単位なのですが、mmHg(ミリメートル水銀)という値を使います。
これは水銀柱を何ミリメート押し上げるか?という意味です。
そして病院の診察室や家庭血圧計でもっとも良く使われている測定法がオシロメトリック法と言われるものです。
これは腕に巻き付けるカフと呼ばれる物を加圧して腕を締め付けます。すると血管を流れる血液がいったん止まります。そこから徐々に圧力を下げていって最初に血液が流れた時の圧力が収縮期血圧になります。さらに心臓の振動がカフに伝わる様になります。そこからさらに圧力を減らしていき振動がなくなった時が拡張期血圧です。
言葉だけでは分かりにくいですがなんとなく分かっていただければ良いかと思います。
高血圧の診断基準
診断基準は何年かごとに見直され、また合併症の有無などでも変わってくるのですが現在の基準としては合併症のない成人では
140/90mmHg以上です。
高血圧がどうして良くないのか?
高血圧が悪い悪いと思われがちですが、エネルギッシュに生きていくためにはある程度の血圧は必要です。収縮期血圧が100を切るような状態だと逆に寝起きが悪かったり、なんとなく体がだるかったり、覇気が出ないという方も多いです。
ただ高血圧状態が続くとそれだけ血管や心臓に負担がかかるので、その結果として脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、腎不全などのリスクが上がると言われています。
高血圧にならないための生活習慣
一般的に言われているのが
・減塩(6g/日未満)
日本人の平均塩分摂取が12g/日といわれています。
・野菜の積極的摂取。
野菜などに含まれているカリウムは余分な塩分を排泄して血圧を下げる作用があります(腎機能が落ちている方は取り過ぎに注意しないといけません)
・肉より魚を積極的に摂る。
・減量する。BMI25未満
・運動する。(心臓病などがない人)
・節酒、禁煙
などです。
高血圧治療薬
大きく分けて6つに分類されます。
Ⅰ、カルシウム拮抗剤・・・カルシウムイオンの流入を抑えて血管を広げる。
Ⅱ、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
・・・アンジオテンシン(昇圧ホルモン)の血管への作用を抑える。
Ⅲ、ACE(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
・・・アンジオテンシンの産生を抑制する。
Ⅳ、利尿剤・・・腎臓より塩分と水分を尿として出す。
Ⅴ、β遮断薬・・・交感神経の心臓への作用を抑える。
Ⅵ、α遮断薬・・・交感神経の血管への作用を抑える。
です。
そして、医療現場で使われている薬は圧倒的にⅠ、Ⅱの薬が多いです。
高血圧に使われる漢方薬
こちらは人それぞれの証に合わせて処方されるのでこの薬と言うことは出来ません。
ただ一般的に良く使われる薬としては
釣籐散、七物降下湯などがあります。
血圧に影響すること
血圧は良く寒い冬に上がると言われていますが、これは本当です。
どうしてそうなるのか?
それは体の自己防衛本能によるものです。外気が寒くなると体は熱をなるべく逃がさないように毛細血管を収縮させてます。そのために、血管抵抗が上がりおのずと血管壁への圧力が上がります。
アレルギーとよく似ていますが、人間の自己防衛力が働き過ぎることにより逆に自分に悪い影響を与えてしまうと言うことは良くありますね。
急激な変化が良くないので、暖かい部屋から急に寒い外に出るときは防寒をしっかりする。また、朝起きるときは急に布団から起き上がるのではなくワンクッションを置いてからゆっくり起き上がるなどした方が良いかと思います。
また、血圧は朝、夜にも変わります。一般的に朝起きたときが一番高いです。
入浴したり、食事をしたり、体を動かした後でも変わります。一般的に後の方が下がります。
天気によっても変わります。晴れた日より雨の日の方が下がります。
それと大切なことが睡眠不足だと次の日に上がることが多いですので、睡眠をしっかりと取ることはとても大切です。
あくまで一般的な話ですので例外はあると思います。
今回は血圧についてつらつらと書かせてもらいました。
血圧は高すぎても低すぎてもダメです。
適度な血圧を確保すること=いきいきとした生活を過ごせる
ことにつながるのではないでしょうか。
今回も最後まで読んでいただきまして有り難うございます。
参考:国立循環器研究センター ホームページ
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