今回は初めて大腸内視鏡検査を受けたため、その時の体験報告を書かせてもらいます。
薬局で働く私として日頃患者さんから「今日大腸検査を受けてきたんだけど、苦しかった~」とか「便がなかなか出なくて検査してもらうまでとても時間がかかった」などなど色んな話を聞くのですが、実体験がないので話を伺うだけでした。
それがなんと、今回自分が大腸内視鏡検査を受けることになってしまったのです💦
最初はとても戸惑いましたが、経験としても受けてみようと奮い立ち、意を決して打てました。その時の体験報告です。
大腸検査を受けるに至った経緯
事の始まりは昨年末に受けた健康診断でした。今まで検便には一度もひっかかった事は無かったのですが、今回送られてきた結果を見て愕然としました。
なんと便潜血(+)。ただ、2回提出したうちの1回だけがひっかかっていたのでひょっとしたら切れ痔の影響かなあ?と思えたのですが書かれている文章に「大腸癌の有無を・・・」とあったので検査を受ける受けないにかかわらず先ずは内科を受診してみることにしました。
内科に健康診断表を提出し、診察を受けたのですがあっけなく「内視鏡を受けてみますか」と言われて5分もせず診察は終わりました。
やはりDrから直接言われると決心も固まります。
とは言う物の、検査日まで1ヶ月以上ありましたし、初めての事で不安は相当ありました。
日が近づいてくる度に憂鬱な気持ちにもなりました。
そしていよいよ検査前日を迎える事になります。
検査前日の様子
検査日2,3日前からなるべく脂っこい物や繊維の多い物を避けるようにとの指導がありました。そして検査日前日の食事は特に気をつけなくてはいけません。
病院から頂いた資料には検査前日のおすすめメニューが書かれています。
私は前日の朝食はご飯と卵焼き。昼食は会社のお弁当でしたので自分でメニューを決めることが出来ず、ほぼご飯のみで我慢しました。夕食は卵のお粥と味噌汁の汁のみにしました。
さすがに味気ない食事でお腹は満たされませんが、こればかりは仕方がない。
そして夜9時に病院からあらかじめ渡されたピコスルファートをまるまる1本水に溶かして飲みます。
ピコスルファートは普段患者さんには「1回10~15滴を水に溶かして飲んで下さいね」と指導して渡しているのですが、それを1回1本まるまる飲んでだらどうなってしまうのか?かなり不安がありました。
しかしそう決められているのなら仕方ない、コップ1杯の水にまるまる1本ぶち込んで一気に飲み干します。
さらに9時以降は何も食べれないのでかわりに2リットルの天然水を用意して意識して水を摂りました。寝るまでに1リットルぐらいは飲んだと思います。
寝たのが11時ぐらいですが、それまでにお腹が痛くなって排便がくるかと思いきや全然便意も催さないので意外にピコスルファートは自分には効きませんでした。
その夜はなんとなく緊張感があったのかなかなか寝付けず、さらには寝れても朝は5時ぐらいに起きてしまって意識しているつもりはなくてもどことなく緊張感があったのでしょう。
検査当日(受付から検査開始まで)
いよいよ検査当日です。
朝食はもちろん食べれませんが、ブラックの珈琲は飲んでも良いとのことでしたので朝から2杯飲みました。相変わらず排便を催さないので珈琲で刺激したかったという思いもありました。
なんとか排便はありましたが、下痢ではなくて軟便が少量わずかに出ただけです。普段より少ないくらい。やはりなんとなく緊張感があったんでしょうね。
朝8時半には病院に来るように言われていました。
受付を済ますと検査室に移動し、1日の流れを説明されます。
大腸内視鏡予定は12時半~2時と事前に説明がありましたので、午前中は下剤を飲んで便を完全に出して大腸を綺麗にしてから検査に望むんだろうなと予想はしていました。
ところが、受付をすましたらすぐに検査を受ける人がいて驚きました。
自分は初めて受ける身なので良くわかっていなかったのですが、病院で下剤を飲むパターンと事前に自宅で下剤を飲んで透明な便になってから来局して検査を受けるパターンの2パターンがありました。
もちろん事前に自宅で下剤を飲んでも良いと聞いていたのですが、早めに飲んで透明になったらすぐに検査を受けられるとは思わなかったので、後から考えるとその方がすぐに検査がおわったかなあ?と感じました。
ただ何分初めてだし、もし家から病院へ移動するまでに便秘を催してしまったら困るだろうなあ?と思い最初は病院でやってよかったなあと思います。
そんなわけでいよいよ下剤を飲んでいくのですが、渡されたのがモビプレップという液剤です。
2リットルの水に溶かされた薬剤が入っているのですが、まず最初は1リットルを6回に分けて服用していきます。
飲み方の注意点としては粉状の薬剤を水に溶かしていて、沈殿しやすいので良く振ってからコップに注ぎます。それは毎回コップに注ぐ前にしないといけません。
そしてコップに約300ccを入れてそれを15分掛けて一口ずつ飲んでいきます。
そして時間の経緯と共に上記の表に排便のチェックをしていきます。
最初に説明があるのですが、便が初めは固形ですが時間が経つにつれて徐々に液体状になっていき最終的に透明になれば検査が可能となります。
自分の場合は昨夜からどうも排便を催しておらず、今朝もあんまり出なかったですしモビプレップを2杯(30分)飲んでも一向に排便を催さなかったのでさすがに焦りが出てきて、これひょっとしたら今日検査をしてもらえないんじゃないか?という不安がでてきました。
あとから看護師さんに聞くとほとんどの人は服用してもすぐに排便を催さずに1リットル飲んだあたりから始まるとのことだったので、事前にその事を聞いておけばと思いましたが、はやり初めての事は分かりませんね。
最初は服用すれば自然と出てくる物と思っていたのですが、看護師さんから「歩いたり、ひねったり、運動しないとダメ」と言われて30分を越えたあたりから積極的に廊下を歩いたりして運動を心がけました。
上のぞうさんがやっているように飲んだ後、歩き、そして上半身をひねる。特に上半身をひねるという動作が大腸を刺激するのかかなり効果的でした。
そんなこんなで服用を開始してから3回目(45分)ぐらい服用でやっと1回目の排便にいけました。
ただ最初はガスと軟便が少し出る程度のものでしたが、いづれにしろ出たと言うことで大分不安が解消されました。
それ以降は飲む、歩く、ひねるの一連の動作をやる度に排便を催すという状態になり便の状態も徐々に固体状のものから液体状の物に変わっていき、最終的にはお尻からおしっこが出るような水分だけが出る状態になりました。
ただ色が黄色なので果たしてこれで良いのか分からず最終判断は看護師さんにしてもらいました。
薬剤にアスコルビン酸がが入っているので黄色い液体が出るのは当然と言えば当然なのですが、飲む段階は透明なのでこれでいいのかよく分かりませんでした。
2回ほどチェックしてもらって最終的にOKがでました。
かかった時間は約1時間半ぐらいではなかったでしょうか?モビプレップを1リットル飲んだ後は水を500ml自分のペースで飲むのですが、自分の場合は500ml飲んだ後に出た便でOKがもらえました。
補足ですが、モビプレップ1リットル+水500mlを飲んでも透明な便にならない方も当然いらっしゃいます。その後は引き続き継続してモビプレップを同じように15分間隔で飲んでいくのですが、最終的に2リットル飲むまでにはほとんどの方が透明になります。
そんなわけで最初はどうなるかと不安に感じ始まったモビプレップの服用ですが、無事透明な便になりました。
さあ、いよいよ大腸内視鏡です。
検査当日(大腸内視鏡)
大腸内視鏡は便の状態を見てのタイミングが大事でOKが出てからは急いで事が進んで行きます。
まず検査着に着替えるのですが、お尻が割れているパンツと浴衣の様な検査着を渡されます。
それから看護師さんに誘導されて検査室に入っていくのですが、自分が受けた病院の検査室は結構薄暗い中にベットがあってその横に色んな機材が置いてあり、モニターだけが光って見える様な感じでした。
まあ余り明るすぎても恥ずかしい感じもありますし、多少薄暗い方がいいのかもしれませんが・・・。
ここでまた補足ですが検査を受ける前に鎮静剤を飲むかどうかを最初の診察の時に聞かれました。
先生からは7割ぐらいの人は飲まず、3割ぐらいの人が飲むと聞きましたし、鎮静剤を飲むとその日は車の運転は出来ないと言われたので、まずは飲まずにやってみようと思い自分は飲みませんでした。
では検査の様子に戻りまして、まず最初にベットに体の左側を下にした状態で横に寝ます。そして足の膝を少し曲げてお尻を後ろに突き出すような姿勢を取ります。
その状態で肛門にキシロカインゼリーを塗ってもらいます。局所麻酔ですので内視鏡挿入時の痛みや違和感を軽減出来ます。
そこからは早かったですね。内視鏡担当の先生が入ってこられ、始めますねと言われてからお尻にカメラが挿入されます。
キシロカインゼリーを塗っているため挿入時は特に痛みなどの感覚はなにもなくまたカメラが奥に入っていっても思っていたより何も感じず、結構余裕じゃんと思えました。
ところがです、最初の痛みというか違和感を覚えたのがお腹の左上、いわゆる大腸の横行結腸から下降結腸に変わる屈曲部分です。
図でも分かるように90度以上屈曲している場合が多いのでカメラを曲げて通さないといけません。詳しい技術は医師ではないので分からないのですがいずれにしろ技術が伴うことだと思われます。
ここの屈曲当たりから結構お腹にカメラの違和感を感じるようになってきました。
そしてこの場所にカメラが到達してから、今後は仰向けの状態に体の向きを変え、左足を建てた状態にし右足をその上に載せて足を組みます。
そうすることでお尻が浮き上がりカメラが挿入しやすくなるのでしょう。
上向きになることで横行結腸のカーブが幾分緩やかになりカメラが通りやすくもなります。
ただ上の絵を見ても分かるように人間の体は常に重力にさらされているので、横行結腸が下に湾曲してしまっていることは想像出来ます。
その形の所をカメラを通すのはそう簡単な事ではなくて押しては引いてを繰り返しながら進んで行かなければいけません。
その度にお腹の中にもぞもぞと異物か動く感じがしてとても気持ち悪いです。ここ当たりから自分は結構苦しさを感じる様になってきました。
ただ事前に看護師さんから呼吸が大切と聞いていたので、お腹を意識した腹式呼吸を心がけました。
横行結腸の時間はとても長く感じましたね。早く終わってくれないかとひたすら願うばかりでしたが、自分の場合は家族の事を思いながらひたすら耐えていましたね。
徐々に違和感は左から右に移っていき最後の難所、上行結腸から横行結腸への屈曲部分に到達します。
ここも難所ですが、自分の中ではここが通ればゴールはもう目の前だという思いから、あと少しあと少しと自分に言い聞かせました。
そして遂に大腸の先端、虫垂がある部分までカメラを通してもらえいました。
補足ですが、仰向いた姿勢からはモニターを見ることが出来るようになるので自分でも大腸がどんな状態かを見ることができました。
カメラが進んで行くことが分かり励みにもなりましたね。
最後に先生が「大腸の先端に到達しました」と言って下さったときは思わず涙がこぼれるぐらいの嬉しさを感じました。
それと、自分で虫垂と小腸の入り口部分が確認出来たことはなんとも言えない不思議な思いがしました。自分の体も教科書通りの大腸なんだと。
それからは、ゆっくりと大腸を隅々まで観察して頂きながら徐々に肛門の方に戻ってきます。
その様子も自分でもモニターで見ることが出来るのですが、どうかポリープなどの悪いものがありませんようにと願うばかりでした。
それにしても内臓の姿というのは不思議で隅々まで毛細血管が張り巡らされていて、凸凹した形で、毎日毎日便を運んでもらっているんだと思うと感謝の心さえ出てきます。
そして最終的に先生から「特に何も異常はありませんでした」と言っていただいた時には、健康の大切さ、ありがたさを強く再認識させられました。
また検査して下さった先生、看護師さんに心からの感謝が湧いてきました。
初めての大腸検査をした感想
長々と書かせてもらいましたが、これが私の大腸内視鏡体験の一部始終です。
終わった後の感想としては、確かに苦しい思いもしましたし、不安感もありましたが、やって良かったなという思いが強いです。
それは特に異常がなかったということも大きいかもしれませんが、あらためて健康の有り難さを感じれたこと、そして普段目にしない内臓が休むことなく私の体を支えてくれていること、その内臓に対して暴飲暴食などの不摂生をしてはいけないという思いが強く湧いてきました。
ですから、是非一度は早いうちに胃カメラなり大腸カメラはした方が良いと思います。
それはやったから言えることかもしれまんが・・・。
いずれにしろとても貴重な体験をさせていただけました。
今回お世話になった全ての人に感謝いたします。
最後にこの文章がこれから内視鏡を受けられる人の何かの役にたてれば幸いです。
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