こんにちは、私は普段調剤薬局で働いている薬剤師です。
今回は高血圧治療薬に使われる薬剤の中で、利尿剤について書かせてもらいます。
高血圧における利尿剤の作用
利尿剤の効果により体内の水分量が減り、心臓の心拍出量が減り血圧を下げる。また、長期の服用により末梢血管抵抗が減少され、その結果血圧が下がる。
主な利尿剤の種類
ここでは主に私の薬局で扱っている薬剤を中心に書かせてもらいます。
フルイトラン錠(成分名:トリクロルメチアジド)
特徴:サイアザイド系利尿剤 遠位尿細管でのNa再吸収を抑制
用法用量:1日1mg以下
代謝:腎排泄 ほとんど代謝されない
半減期:1.6時間
禁忌:無尿 急性腎障害 Na,K減少症 サイアザイド系過敏症
相互作用:バルビツール酸系薬 アヘンアルカロイド麻薬 飲酒 ジギタリス リチウム 降圧薬 コレスチラミン NSAIDs グリチルリチン酸含有製剤(血清K低下)副腎皮質ホルモン・ACTH(過剰のK放出)
副作用:電解質失調 高尿酸血症 高血糖症 発疹 顔面紅潮 光線過敏症
ナトリックス錠(成分名:インダパミド)
特徴:サイアザイド類似利尿剤 脂質への悪化作用が少ない
用法用量:1日1回0.5~1mg
半減期:20時間
禁忌:無尿 急性腎障害 Na,K減少症 サイアザイド系過敏症
相互作用:バルビツール酸系薬 アヘンアルカロイド麻薬 飲酒 ジギタリス リチウム 降圧薬 コレスチラミン NSAIDs グリチルリチン酸含有製剤(血清K低下)副腎皮質ホルモン・ACTH(過剰のK放出)
副作用:高尿酸血症 発疹 食欲不振、めまい
アルダクトンA錠(成分名:スピロノラクトン)
特徴:K保持性利尿薬 女性化乳房などの副作用あり
用法用量:主として他剤併用で1日1回25~50mg
半減期:12時間
禁忌:無尿 急性腎障害 高カリウム血症 アジソン病
併用禁忌:タクロリムス エプレレノン ミトタン
相互作用:降圧薬 塩化アンモニウム コレスチラミン K製剤 ACE阻害剤 ARB アリスキレン K保持性利尿薬 シクロスポリン ドロスピレノン ノルアドレナリン 乳酸ナトリウム ジゴキシン メチルジゴキシン NSAIDs リチウム
副作用:女性化乳房 性欲減退 陰萎 多毛 月経不順 無月経 発疹 めまい 頭痛 しびれ感 うつ状態 傾眠 食欲不振 悪心嘔吐 口渇 下痢、便秘 倦怠感など
セララ錠(成分名:エプレレノン)
特徴:スピロノラクトンと異なり、女性化乳房などの性ホルモン関連の副作用は少ない
用法用量:1日1回50mg 100mgまで増量可
代謝:主にCYP3A4で代謝
半減期:3~5時間
禁忌:高K血症・投与開始時血清≧5.0Eq/L 重症腎症(Ccr<30) 肝障害 微量アルブミン尿・蛋白尿を伴う糖尿病患者 中等度の腎症(30≦Ccr<50)
併用禁忌:他のカリウム保持性利尿剤 リトナビル ネルフィナビル イトラコナゾール
相互作用:CYP3A4阻害剤 ARB ACE アリスキレン シクロスポリン タクロ
リムス ドロスピレノン リチウム
副作用:高K血症 頭痛 めまい 低血圧 腎障害 嘔気 消化不良 肝機能上昇 高尿酸血症 疲労感など
ミネブロ錠(成分名:エサキセレノン)
特徴:エプレレノンと同じく選択的アルドステロン受容体拮抗作用
用法用量:1日1回2.5mg 5mgまで増量可
代謝:CYP3A4で代謝 グルクロンサン抱合
半減期:18.8時間
禁忌:高K血症・投与開始時血清≧5.0Eq/L 重症腎症(Ccr<30)
併用禁忌:他のカリウム保持性利尿剤
相互作用:ACE ARB アリスキレン シクロスポリン タクロリムス ドロスピレノン 強いCYP3A4阻害剤 NSAIDs リチウム ミトタン
副作用:高K血症 高尿酸血症など
参照:今日の治療薬
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